「遺伝子バンク」創設に力をおかし下さい
 
はじめに
「遺伝子バンク」創設に力を貸していただけませんか?
「遺伝子バンク」にご協力いただいた皆様
「遺伝子バンク」Q&A
RI意義ある業績賞
レポート

東京大学医科学研究所

 
「遺伝子バンク」創設に力を貸していただけませんか?
宮武明彦会員   [10ccの血液で、子孫に残すボランティア]
わたくしたちのロータリークラブは2003年1月25日に10周年を迎えるに当たり、記念事業として「遺伝子バンク」の創設を目指しています。わたしたちは「遺伝子バンク」を、日本赤十字社の「血液バンク」、厚生労働省の「骨髄バンク」に次ぐ第三番目のバンクに育てようと考えています。
今までのバンクは病気で苦しむ患者さん個人に手を差しのべる事業でしたが、この「遺伝子バンク」はわずか10ccの血液提供で、数多くの患者さんに貢献できる事業なのです。
 
「遺伝子バンク」は、日本赤十字社の「血液バンク」や厚生労働省の「骨髄バンク」のように病気で苦しんでいる人達のお役にたつことを目的にしています。そのような意味では、この遺伝子バンクは、これらに次ぐ第三番目のバンクになると考えられます。   図解1
しかしながら、今回の遺伝子バンクは今までのバンクと少し趣が異なっております。それは、今までのバンクは血液や骨髄の提供により、病気で苦しんでおられる患者さんお一人だけを助ける事業でした。しかしながら、今回の「遺伝子バンク」は、日本人の糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などいわゆる生活習慣病、あるいはガンやアレルギー疾患などで困っておられるひとりの患者さんのみならず、同じ病気で苦しんでおられる多くの患者さんを一度に助けることができる有益な事業なのです。   図解2
2003年4月14日に、人間の全遺伝子情報であるヒトゲノムの解読を完了したことを、日本の小泉純一郎総理をはじめ、各国の首脳達が世界に向かって発表しました。これは、人類が自分達の体の設計図をすべて自ら手にすることが出来たことを意味します。それは、ヒトの全設計図がわかれば、生活習慣病、ガン、アレルギー等、病気を引き起こす病因遺伝子の場所を明らかにすることが可能になるからです。   図解3
しかしながら、ヒトゲノム上で病気の場所を明らかにするためには、たとえば高血圧の場合、1人の患者さんから血液約10ml、この血液量は病院でコレステロールや肝臓の検査の時に採血される量とほぼ同量に当たりますが、この10mlの血液を最低1,000人の患者さんから提供を受ける必要があります。ただし、高血圧患者さん1,000人の血液中の遺伝子を解析するだけでは充分ではありません。同じ数、すなわち1,000人の高血圧をもたない人達の遺伝子を解析し、高血圧症患者さんの遺伝子の型と比較して、はじめて、高血圧を起こす遺伝子の場所がわかるのです。つまり、病人と健常者との比較検討を行わない限り最終的に病因遺伝子の場所を決定することは不可能なのです。   図解4

この遺伝子決定に際して、ひとつの問題があります。それは、多民族で構成されている国では、人種の均一性が一定でなく、そのために多くの人数を集めたからといって、単純に比較することが出来ないということであります。それは、民族ごとに遺伝子の型が微妙に異なるからです。アメリカなどは典型的な多民族国家であるために、純粋な遺伝子配列決定がかえって困難だと言われています。しかしながら、日本は約2000年の歴史の中で、人の移動が欧米、中国などと比較して例外的に少なかった国であることから、先進国の中では人種の均一性が際だって高い国であり、病因遺伝子の検索には非常に有利とされています。その有利な条件下にあっても、日本における健常者の血液提供は難しいとされています。

皆さん考えてみてください。もしあなたが高血圧症という病気であって、主治医の先生から、「高血圧の遺伝子解明のために検査のついでに10ml血液を頂きたい」とお願いされれば、たいていのひとは自分が罹っている病気の原因が究明されるのならと、了解されるでしょう。しかしながら、全く健康なあなたに、いきなり血液10ml下さいと言われて、どれくらいの人が直ちに「ああいいですよ」と言えるでしょうか。